呼吸と坐骨神経痛などのしびれとの関係とは?

最近施術をしていて思うのは、呼吸が浅い方が増えていると言うことです。
呼吸が浅くなってしまう原因は
・パソコンやスマホをみている時の姿勢
・運動不足
・食生活(後述します)
などが考えられます。
またこれらにより呼吸が浅くなると
・肩こり
・首こり
・背中の痛み
などの症状も出やすくなります。
実は最近、ある症状の原因も呼吸が浅いことが原因になっているのでは?と言われています。

それが坐骨神経痛などのしびれの症状です。

まずは
呼吸とはそもそもどんな役割がある?
呼吸が浅いとどんな変化が起こる?
呼吸が浅いかどうかをチェックする方法は?
などもご紹介しておりますので是非ご覧ください。

そもそも呼吸の役割とは?

呼吸とはご存知のように酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する生きていく上で必要な機能です。
酸素は血液の中のヘモグロビンという細胞により全身に行き渡ることで、各器官が正常に機能しています。

そして東洋医学ではもう一つ、肺は大事な機能があるとされています。
それは、身体のポンプ機能。
食べたものを消化して、その際に出る湯気がエネルギーとなり、それが上昇して肺に入ると、ポンプのように動いて全身にそのエネルギーを散布する、と言われています。

⇩画像をクリックすると動画をご覧になれます。

つまり、肺は

・酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するという身体のガス交換の機能
・食べ物から得たエネルギーを全身に散布する

という2つの機能を担っているというわけです。

呼吸が浅いとどんな変化が起こる?

呼吸が浅いと起こる現象は以下の2つです。

酸欠状態

ガス交換が上手くできなくなり、酸欠状態になります。
酸欠状態になると、各器官の代謝能力が落ち、無気力な状態となります。例えば
・身体が硬くなる
・お腹が空かなくなる
・疲れやすくなる
などの症状です。

そしてもう一つ酸欠状態で出やすくなるのがシビレの症状です。例えば

・坐骨神経痛による足のシビレ
・胸郭出口症候群や手根管症候群などによる手のシビレ
などの原因にもなります。

よく坐骨神経痛の原因は梨状筋などの殿部の筋肉が緊張し、坐骨神経を圧迫することで発症する症状としていますが、

最近では、神経の圧迫よりも血流の問題、特に酸素不足により坐骨神経痛のような神経症状が出ているのでは?という見解も出始めているようです。

先ほどの肺が全身に栄養を散布しているという考えを元に推測すると、肺の機能が落ちてしまい、全身に栄養(この場合は酸素)が散布できなくなるので坐骨神経痛になってしまう、というのと合致した見解だと考えられるわけです。

瘀血(おけつ)ができやすくなる

瘀血(おけつ)とは平たく言うと血流の悪さを表します。

身体のポンプ機能が低下するとまず気が周わらなくなります(これを「気滞」と言います)。これは血流にも影響して血液も滞りを作るようになります。それによってできた停滞を「瘀血(おけつ)」といいます。瘀血は東洋医学では万病の元といわれるほど、身体への影響が大きく、坐骨神経痛の原因にもなります。

また、食欲はあるのに身体が元気にならない、などの身体が停滞するような症状も出やすくなります。

冒頭で紹介した肩こりや首こり、背中の痛みなども元を辿ればこの「瘀血」が原因であることがとても多いです。

瘀血タイプについてはこちらからご覧になれます。

身体のタイプ「血流の大敵、瘀血タイプ」

呼吸が浅いかのチェック方法

簡易的ではありますが、「魚際(ぎょさい)」、「雲門(うんもん)」というツボを押した時に痛みがあるかでチェックすることができます。

魚際も雲門も、軽く押して痛みや硬さがあると、呼吸が浅くなっていると考えられます。

この魚際というツボは人間の発生学(ヒトはどのようにしてできたか)の観点から元々は鰓(えら)に関係するツボとも言われています。
また、経絡では肺経に属し、その経絡上に炎症などの機能不全を表す「火穴(かけつ)」でもあります。

雲門は大胸筋の上にあり、呼吸が浅いと「巻き肩」の姿勢になりやすく、大胸筋も収縮するので痛みや硬さが出やすくなります。

魚際や雲門を押すと痛かった、筋肉の硬さがあった場合、魚際にこのような反応がなくなると、呼吸も深くできるようになります。
この反応をなくすのが「尺沢(しゃくたく)」と「経渠(けいきょ)というツボです

二人で行う場合は、尺沢もしくは経渠を押した状態で、もう一人に魚際もしくは雲門を押してもらいます。
この時に魚際もしくは雲門の痛みや硬さが緩和されていれば、尺沢もしくは経渠をそのまま軽く押し続けます。
するとさらに痛みや硬さが緩和されていき、呼吸も深くできるようになります。それにより肺のポンプにより全身へのエネルギー散布が出来るようになります。

尺沢の方が痛みや硬さが少なくなる、経渠の方が少なくなる、というのは個人差があるかと思いますので、より効果がある方を選ぶようにしましょう。

あくまでもこの2つだけで症状が継続的に変化する、というのはなかなか困難なことが多いです。
というのは、現代社会ではパソコンやスマホの普及、運動不足、ストレスや食生活など、呼吸を浅くする原因がとても多いからです。
今回は呼吸が浅くなるとどんな身体の変化があるのかをご紹介してきましたが、
お心あたりのある方、
すでに不調に悩まされている方、
そうならないように予防したい方、
当院ではご自身がどのような原因で呼吸が浅くなっているのかを根本から見直すことができますので、是非ご相談ください。

かがみ鍼灸治療院