自律神経失調による対応力弱体化タイプ

こんな症状が出やすくなるタイプです。

  • 身体の元気がなくなる
  • 身体を動かすのが億劫になる
  • 天候の変化や季節の変わり目に調子を崩しやすくなる
  • 睡眠が浅くなる
  • 疲れやすくなる

このタイプは、何らかの影響により、自律神経が正常に働かなくなり、身体の生命維持が困難となっています。
自律神経とは身体の機能を一定に保つはたらきをしています。
この機能が低下すると、様々な変化に対応することが苦手になり、エネルギーの消耗が大きくなるので、疲れやすくなります。
腹診では以下のような箇所に反応が出ます。

お腹の反応

主に糖代謝異常の反応が出ます。
後述しますが、このタイプの原因の多くは糖代謝異常による「脾(ひ)」のはたらきの低下によるものです。
そのため、
お腹や骨盤周りの冷え、臍周囲や左肋骨下を押すと痛むなどの反応が出やすくなります。
また、慢性化していると右肋骨下の肝臓の反応も出やすくなります。

背中の反応

左胸椎10〜12番(この真裏に膵臓があります)にボコッとした膨隆があったり、触れると筋肉が緊張しているのでくすぐったく感じることがあります。

首の反応

首前面は扁桃腺の反応です。
「脾(ひ)」は粘膜系にも関係しているため、はたらきが低下すると、のどの粘膜が機能しにくくなり、扁桃腺が腫れやすくなるため、首の前側に硬さがみられるようになります。
また、慢性化している場合は右の後頭部、
糖代謝異常の反応として後ろの首から肩の筋肉が緊張してくすぐったくなります。

そもそも自律神経失調とは?

では、そもそも自律神経失調症の定義は何かというと、定義はないのだそうです。
天候や環境などが原因で、本人が自覚している不調(=不定愁訴)を自律神経失調症としているようで、医学的な所見で確定診断があることは少ないようです。

東洋医学では、自律神経失調症を「身体と自然との不調和」としています。

地球には太陽や月の引力があります。
この引力は潮の満ち引きなど地球上に様々な影響を及ぼしていて、

それは人の身体にも影響していると言われています。

実は人にも太陽や月と同じように引力があり、太陽や月の引力と綱引きをするように対抗して、自身の体調を保っています。その引力に対抗しているのが自律神経ということです。

そしてこの引力こそが胃や消化器(=脾)の力とされているのです。

つまり「脾」の機能が正常であれば、自律神経のはたらきも正常に機能し、健康を保つことができます。

しかし、脾の引力が弱くなると、枠内から自然の引力に引っ張り出され、自律神経も正常に機能しなくなり、天候や季節、環境の変化に対応しにくくなるなど、様々な身体の不調が出始めます。
この状態を東洋医学では「自然との不調和」といい、いわゆる自律神経失調症としています。

「脾」が弱くなる原因

糖質過多

東洋医学では「五味(ごみ)」という、
その味覚のものを摂りすぎると、特定の臓器の機能を落としてしまう、という考えがあり、
「脾」の「五味」は「甘(かん)」という甘いものを示しています。

つまり、糖質を多く摂ると、「脾」が弱くなり、自身の引力も弱くなり、外界の影響に振り回されやすくなる、ということです。

眼精疲労、アルコール、薬や添加物による肝へのダメージ

「肝」は「脾」と相克関係(肝のはたらきが強くなると、脾のはたらきを弱くさせる)にあり、
・眼精疲労
・アルコール
・薬や添加物
のような肝にとって有害なものを取り過ぎると、脾に影響し、自律神経に影響します。

運動不足

胃の経絡は目からスタートして足に行きます。
そして、スネの筋肉の上にはたくさんの胃のツボがあり、スネの筋肉を使うことで胃の消化力が上がります。
しかし、歩いたり、あるいは走ったりせずにスネの筋肉を使わないでいると、消化能力が低下し、胃だけでなく、脾の力も落ちてしまいます。
補足:動物、例えば馬は足を骨折すると命に関わると言われています。これは歩けなくなることで、食べたものを消化することができなくなり、エネルギー不足が原因で命を落とす、と言われています。
人間は死まではいかないまでも、生命活動をする上で消化能力が落ちることは自律神経の乱れだけでなく、様々な身体の不調の原因となります。

どんな治療をする⁇

・脾の機能回復(それぞれの原因に準じて)

・腸内環境の回復 

・目の疲労(脳下垂体)の回復

・瘀血の除去(反応や経過を診ながら慎重に)

+症状の経過と共に生活リズムや食生活の見直し

これにより上記のような腹診の反応が経穴の効果により軽減・もしくは消失し、場合によってはその場で症状も軽減することもあります。

このタイプでは自律神経により筋肉が過敏になっていることが多いので、腹診ではくすぐったさや違和感があることが多いです。

自律神経に関与する「脾」は「肝」との相関関係があるため、「脾」の治療(自律神経の治療)を中心に「肝」の調整も行っていきます。

それにより自律神経の機能回復が見込めるので、施術をしていくと腹診時のくすぐったさや違和感がなくなり、その他の上記の反応もなくなっていきます。

自律神経失調による対応力弱体化タイプにおすすめのセルフケア

糖質過多

少し糖質を多くとっているかも…とお心あたりのある方は、思い当たる糖質をピックアップして、その糖質をまずは半分にしてみましょう。
期間は2週間。(2週間すると大分なれてくるそうです)
その後もうその半分にしていくと、身体の変化を実感できるようになっていきます。

どうしても食べたくなってしまった時は、
・100%のはちみつやメープルシロップ(スプーン2杯分くらい)
・ドライフルーツやさつまいもなどの芋類
・果物ではりんごなど(腸内細菌は分解しやすい)
などで代用しましょう。

そして、当院でよくおすすめしているのが焼きりんごです。
1/2から1/4にしたりんごを、オーブンやトースターなどで焼いて、ヨーグルトとはちみつやメープルシロップをかけます。
分解しやすい糖分なので、腸内環境にも良くおいしく食べられると思います。
また、腸内の温度を下げないように温かい飲食物を摂ることも腸内環境を整えるには重要です。
というのも、腸内の温度は40℃近く、そして善玉菌が活発になるのも同じ温度と言われています。
対して悪玉菌が好きな温度は30℃未満の低い温度。
実は冷え冷えの350mlビール1本を飲むと腸内の免疫の80%は停止してしまうとも言われています。
それだけ、腸内の細菌は温度に敏感なので、腸内が冷えないような飲食を心がけましょう。

眼精疲労、アルコール、薬や添加物による肝へのダメージ

アルコールや添加物、薬などは、身体にとっては毒と認識されてしまいます。
ですが、摂らざるおえない時や、知らずうちに摂ってしまう、飲まなくてはならない薬がある、ということも多いかと思います。
そこで、身体をデトックスする方法が、シソやニラを摂取することです。
シソやニラは「肝」や「腎」の解毒作用があります。
また、しじみ(貝)は強肝作用があるのでこちらもおすすめです。

眼精疲労には蒸気でホットアイマスクやメグリズム、電子レンジで繰り返し使える小豆の入ったものや、USBに繋いで使えるアイマスクなどもあるので、休憩時間にこまめに目を温めると効果的です。
また、目を温めることだけでなく、遠くを見ることも眼精疲労には効果的です。
眼精疲労はパソコンやタブレット、スマホなどは近くを見るため、目のレンズを調節している筋肉を酷使することで起こりますが、反対に遠くのものを見るための目にある筋肉を使うことで、近くのものを見る筋肉が緩めることができるからです。

運動不足

ベストなのはウオーキング30分ですが、時間がなかったり、外出できない場合は家で足踏みをしたり、爪先立ちを繰り返すことも有効です。
それにより、スネの筋肉を収縮させることができるので、胃の消化能力を上げることができます。
足踏みや爪先立ちを繰り返すのは何回行ってもOKです。
やればやるだけ効果があるので、まずは無理のない範囲から試してみましょう。

かがみ鍼灸治療院